2026年7月21日
「受け口ぎみな気がする」「前歯で食べ物が噛み切れない」「飲み込み方が変?」とお悩みのお母さん・お父さんへ。実は「お口ポカン(口呼吸)」とは別問題として、「舌の位置異常(低位舌・舌癖)」が骨格的な受け口や開咬(前歯が噛み合わない)、嚥下障害の大きな原因になります。正しい舌の位置「舌スポット」と、ご家庭でできるトレーニング(MFT)を歯科医師が詳しく解説します。
1. 導入:受け口や飲み込み方の違和感…「舌の位置」が原因かもしれません
「最近、うちの子のあごが少し前に出ているような気がする…」
「麺類やパンを前歯で噛み切れず、奥歯ばかりで食べている」
「つばやご飯を飲み込むときに、クチャッと舌が見える」
子育て中のお母さん・お父さん、お子様のお口や噛み合わせ、飲み込み方にこのような違和感を覚えたことはありませんか?
「お口が半開きになる(お口ポカン)」という悩みはよく知られていますが、実は**「舌の位置異常(低位舌や舌の突き出し癖)」は、お口ポカンとはまた別の、より重大な骨格・機能上の問題を秘めています。**
舌は強力な筋肉の塊です。普段の舌の置き場所や、飲み込むときの舌の動きに異常があると、子どもの柔らかいあごの骨格を変形させ、「受け口」や「開咬(かいこう)」を引き起こしたり、正常に飲み込めない「嚥下障害」へつながることがあります。
今回は、歯並びやあごの骨格、そして正しい嚥下(飲み込み)を守るための鍵となる**「舌スポット」**について、わかりやすく解説します。
2. 本題①:なぜ舌の位置があごの骨格や飲み込みに影響するの?
舌は1日に1,500回以上も強い力をかける「筋肉の塊」
私たちは無意識のうちに、1日に1,500回〜2,000回も唾液や食べ物を飲み込んでいます。
飲み込むたびに、舌は上あごや歯に対して強い力(筋肉の圧力)をかけています。
もし舌が正しい位置にあれば、その圧力はあごをバランスよく成長させる健全な力となります。しかし、舌の位置が間違っていると、その強い力があごの骨を歪め、歯を悪い方向へ押し出してしまうのです。
本来の正しい舌の家「舌スポット」
本来、リラックスしているときや飲み込むとき、舌は以下の状態にあるのが正常です。
この「舌スポット」に舌が正しく収まっていることで、上あごの骨格が美しく横に広がり、下のあごとのバランスが保たれます。
3. 本題②:「お口ポカン」とは別問題!「舌の位置異常」が引き起こす3つの重大なリスク
「お口が開いているかどうか」だけではなく、**「舌がどこにあるか・どう動いているか」**が骨格や機能に大きく関わります。
舌の位置が低い場所にある(低位舌)ことや、前歯を押す癖(舌突き出し癖)がある場合、以下のような骨格的・機能的な問題が生じます。
1. 骨格的な「受け口(反対咬合・下顎前突)」
舌の位置が本来よりも低い(下あごの底に落ちている)と、飲み込むたびに舌が下の歯や下あごを内側から前へと強く押し出します。
成長期の子どものあごの骨は柔らかいため、舌に押し出され続けた下あごが過剰に成長し、骨格的な「受け口」へと進行してしまう大きな原因となります。
2. 前歯が噛み合わない「開咬(オープンバイト)」
奥歯をしっかり噛み合わせても、前歯上下の間に隙間ができて噛み合わない状態を「開咬(かいこう)」と呼びます。
これは、無意識のうちに舌を上下の前歯の間に挟み込んだり、前歯を裏から強く突き出す癖(舌刺出癖)によって起こります。前歯で食べ物を噛み切ることができなくなり、うどんやスライス肉などをうまく食べられなくなります。
3. 正しく飲み込めない「嚥下(えんげ)機能の問題」
本来、食べ物や水分を飲み込むときは、舌先を「舌スポット」に固定し、上あごの天井へ向けて舌を持ち上げながら奥へ送り込みます。
しかし、舌の位置異常があると、飲み込む際に舌を前に突き出してしまう「異常嚥下癖(いじょうえんげへき)」が起こります。その結果、クチャクチャと音を立てて食べたり、飲み込むときに口唇に強い力が入って口元が歪むなど、正しくスムーズな嚥下ができなくなってしまいます。
4. 本題③:ご家庭でできる!舌の位置のチェック&トレーニング(MFT)
「うちの子、舌の位置が怪しいかも…」と思ったら、まずは観察と簡単なトレーニングから始めてみましょう。
【Step 1】嚥下と舌の位置のセルフチェック
お茶やお水を飲むとき、お子様のお口元をのぞいてみてください。
これらの症状が見られる場合、舌の位置異常(低位舌・舌癖)の可能性が高いため、舌の正しい位置を覚えさせるトレーニングが有効です。
【Step 2】ご家庭でできる「舌スポット」トレーニング
① スポットタッチ(位置の確認)
清潔な指やアイスの棒で、上の前歯の裏側にある「舌スポット」をちょんと触り、「ここに舌の先をタッチしてね」と教えます。まずは「正しい舌の家」の場所を身体で覚えることが第一歩です。
② ポッピング(ポンの体操)
舌を持ち上げる筋力(舌筋)を鍛え、上あごに吸い付ける感覚を養う代表的なトレーニングです。
③ 正しい「ごっくん」トレーニング(嚥下練習)
5. まとめ:骨格や嚥下を守るため、早めのケアが大切です
今回の重要なポイントをまとめます。
骨格的には3歳から6歳までに治すことが理想とされています。
あごの骨格や嚥下機能は、成長期である「いま」だからこそ、正しい舌の運動によって良い方向へ導くことができます。
6. 締め:医療機関からのメッセージ
「受け口になってきている気がする」「噛み合わせや飲み込み方が気になる」といったお悩みは、見た目だけの問題ではなく、お子様の発育や全身の健康に関わる大切なサインです。
当院では、お子様一人ひとりのお口の形やあごの発達、舌の動かし方を専門的にチェックし、必要に応じた口腔筋機能療法(MFT)やアドバイスを行っております。
少しでも気になることがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
当院では無料相談を受け付けています。