2026年8月21日

「歯ぐきが下がって、歯が長く見える」「歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなった」「少しぐらつく気がする」。そんな変化があっても、痛くないと受診するか迷うことがありますよね。
歯周病の進み具合は、痛みや見た目だけでは判断できません。歯ぐきの検査と、必要に応じたレントゲン検査を組み合わせ、歯を支える組織の状態を確認します。気になる変化があれば、まず今の状態を知ることから始めてみましょう。
歯ぐきが下がる・歯がぐらつくのは、歯周病のサイン?
歯周病では、歯ぐきの出血や腫れ、口臭、歯ぐきが下がる、歯が動くなどの変化がみられることがあります。進行していても、強い痛みを感じない場合があります。[1]
ただし、歯ぐきが下がる原因には磨く力や歯ぐきの厚さなども関係し、歯のぐらつきにはかみ合わせや外傷などが関わることもあります。しみる症状も、むし歯や知覚過敏などと区別して考える必要があります。「この症状だから重度」と自己判断せず、いつからどの歯が気になるかを教えてください。
歯肉炎と歯周炎は、何が違う?

歯周病には、主に歯ぐきに炎症がある「歯肉炎」と、歯を支える組織が失われる「歯周炎」があります。歯肉炎では、歯垢(プラーク)を取り除くお手入れと必要な歯科での清掃によって、炎症の改善を目指します。歯周炎では、炎症への対応とともに、残っている組織を守り、かみやすさを保つ治療を考えます。[2]
出血があるだけでは、歯肉炎なのか歯周炎なのかまでは分かりません。歯ぐきの下も含めて確認することが、治療の選び方につながります。
軽度・中等度・重度は、どのように考える?
患者さんへの説明では、歯を支える組織の失われ方などを「軽度・中等度・重度」と表現することがあります。ここでは状態を理解する目安として整理します。症状が表の順番に必ず現れるわけではなく、同じお口の中でも歯ごとに状態が異なります。
| 説明上の目安 | 検査で確認すること | 治療を考える際のポイント |
|---|---|---|
| 軽度の歯周炎 | 支える組織の喪失が比較的小さい段階。歯ぐきの検査や画像で確認します。 | 毎日のお手入れと歯垢・歯石の除去などで炎症を抑え、状態の安定を目指します。 |
| 中等度の歯周炎 | 組織の喪失が進み、深い歯周ポケットなどがみられることがあります。 | 歯ぐきの下の清掃を含む治療と、治療後の再評価が大切です。 |
| 重度の歯周炎 | 支えが大きく失われ、歯の動揺やかみ合わせへの影響なども確認します。 | 歯を残せる見込みや生活への影響を踏まえ、基本治療に加えて必要な処置を相談します。 |
なお、専門的な歯周炎の分類には、重症度と治療の複雑さを整理するステージI〜IVと、進行の速さやリスクを評価するグレードA〜Cがあります。上の3区分と、そのまま一対一に対応するものではありません。分類は検査結果やこれまでの経過などを総合して判断します。[3]
歯周病の検査では、何を調べるの?
歯ぐきの検査:ポケット・出血・歯の動き
歯と歯ぐきの境目にある溝の深さ、検査時の出血、歯ぐきが下がった程度、歯の動きなどを確認します。奥歯では、根が分かれる部分の状態も大切です。歯垢の付き方や清掃しにくい場所、かみ合わせなども確認し、ご自身に合うお手入れを考えます。
レントゲン検査:歯を支える骨の高さや形
レントゲンでは、歯を支える骨の高さや形、根の周囲の状態などを確認します。外から見えにくい部分を知り、治療計画や経過の比較に役立てます。撮影する範囲や時期は、診察結果やこれまでの画像を踏まえて判断します。
レントゲンだけで、今どこにどの程度の炎症があるか、骨の状態をすべて把握できるわけではありません。歯ぐきの検査と組み合わせて説明を受けると、ご自身の状態を理解しやすくなります。
検査で進行が分かったら、どんな治療になる?

まずは、お口の状態に合わせた歯みがき・歯間清掃の方法を確認し、歯垢や歯石を取り除く歯周基本治療を進めます。歯ぐきの下の清掃では、必要に応じて局所麻酔を使うこともあります。喫煙や糖尿病など、治療の経過に関わる要因も一緒に確認します。[4]
治療後は再検査を行い、出血やポケット、清掃のしやすさなどがどう変わったかを確認します。深いポケットや炎症が残る部位では、歯周外科などを検討する場合があります。失われた組織の再生を目指す治療は、骨の欠損の形などによって適応が異なります。
通院回数や期間は、治療する範囲、進行の程度、再評価後に必要となる処置などで変わります。保険診療で行う治療と自由診療の選択肢がある場合は、それぞれの目的・費用・主なリスクをご説明し、進め方を相談します。
「重度」と言われたら、必ず抜歯になる?
歯を残せるかは、骨の量だけでなく、歯の動き、根の状態、清掃のしやすさ、かみ合わせ、治療への反応なども踏まえて判断します。重度という言葉だけで結論を出さず、「この歯を残すために何ができるか」「残す場合の負担はどのくらいか」を確認してみましょう。
歯の保存が難しく、痛みや感染、かむ機能などへの影響から抜歯を提案する場合もあります。その際も、判断の理由と抜歯後の選択肢をお伝えします。
歯並びが気になる場合も、まずは歯周病の状態を確認
歯が重なっている部分などは、清掃しにくい場合があります。まず歯ブラシや歯間ブラシ、フロスの使い方を調整し、磨き残しへの対応を考えます。
矯正治療を検討する場合も、歯周病の炎症と歯を支える組織の状態を評価してから計画します。必要性は一人ひとり異なるため、歯周病の治療やお手入れと合わせて相談しましょう。
受診の目安と、ご自宅でできること
歯みがきの際の出血が続く、歯ぐきが下がった、食べ物が挟まりやすくなった、歯が動くなどの変化があれば、痛みがなくてもご相談ください。歯を何度も指で揺らして確かめるのは控えましょう。
強い腫れや痛み、膿、急にかめなくなったときは、早めに医院へご連絡ください。顔の腫れや発熱を伴う場合も、早めの対応が必要です。息苦しい、飲み込みにくい場合は、速やかに医療機関を受診してください。
毎日のお手入れでは、強くこすらず、歯と歯ぐきの境目をやさしく磨きましょう。歯間ブラシの太さやフロスの使い方に迷ったら、普段のお手入れ用品をお持ちいただいても大丈夫です。
歯周病の進行と検査について、よくあるご質問

Q.血が出なければ、歯周病ではありませんか?
出血の有無だけでは判断できません。痛みや出血を自覚しにくい場合もあるため、歯ぐきや歯の変化を含めて検査で確認します。
Q.歯ぐきが下がっていたら、重度ですか?
歯ぐきが下がる原因は一つではありません。歯を支える組織や磨き方なども確認し、原因と対応を考えます。
Q.一度減った骨は、歯石を取れば戻りますか?
歯石取りは、炎症を改善して状態の安定を目指す大切な治療です。失われた骨がそのまま元に戻るという意味ではありません。再生治療を検討できるかは、欠損の形などの条件を確認します。
Q.毎回レントゲンを撮る必要がありますか?
毎回一律に撮影するのではなく、診察結果、症状の変化、過去の画像などから必要性を判断します。
Q.治療で落ち着いたら、通院は終わりですか?
状態が安定した後も、歯周病のリスクやお手入れの状況に応じた継続管理が役立ちます。通院間隔は個別に相談します。
今の状態と、これからできることを一緒に確認しましょう
「骨が減っていると言われて心配」「以前の検査結果をもう一度聞きたい」。そんなときも、遠慮なくお話しください。福岡南区あつみ歯科医院では、検査結果をもとに、今必要な治療と続けやすいお手入れを一緒に考えます。
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強い腫れや痛みなど、お急ぎの場合は092-707-9515へお電話ください。
参考資料
[1]NHS:Gum disease
[2]Manchester University NHS Foundation Trust:Periodontal Disease
[3]日本歯周病学会:認定歯科衛生士スキルアップ資料(新分類)
[4]日本歯周病学会:歯周治療のガイドライン2022